請負工事と仕組み
前回も書きました。
私が塗装職人から独立して始めた仕事
同業者からの請負仕事(孫請け仕事)
孫請け仕事とは
建築業ではよくあることで
一番初めにお客さんか直接工事を請負ってくる業者
ここが「元請け業者」で
その元請け業者から仕事を請負う業者が「下請け業者」
その下請け業者から仕事を請負う業者のことを「孫請け業者」
というんですね!
知ってると思いますが一応(笑)
例えば新築の家を建てるのに
工事業者がお客さんから注文をもらう
この業者が「元請け業者」
その工事業者から塗装の仕事を請負ってくる塗装会社が「下請け業者」
その塗装会社から仕事を請負っているのが「孫請け業者」
「元請け業者」が住宅の新築工事を請負ってきた3000万円の工事の中に
300万円の塗装工事があったとします。
建設業者が家を建てる際、いろんな専門業者に仕事を分配して
家を建てていくわけなのですが
基礎工事、電気工事、水道工事、大工工事さまざま
家を一軒立てるにはたくさんの専門業者が必要です。
その中の1つが塗装業者で
いつも使っている塗装業者にお願いするわけですが
工事業者は塗装工事300万円の仕事を
塗装業者へ270万円で発注したとします。
その塗装業者は自社で工事をすると
70万円の利益を上げることができるのですが
その新築工事の時期には他にも工事の予定が入っていて
工事をするのが困難、要は職人の手が足りない状況です。
そんなとき、塗装業者が行うことは?
他の工事を伸ばしてその新築工事を優先させて行う。
応援の塗装職人を外部から集めてきて
自社の職人を職長に立てて増員して工事を行う。
いろんな方法があるのですが
その新築工事の塗装工事を
他の塗装業者に任せること
塗装業者から見て、下請けに出すことです。
これが孫請けなのですが
請負ってきた工事金額で丸ごと発注はしません。
自社で行えば70万円の利益があるのですから!
ではどうすればいいのか?
自社で行うときと同じように70万円の利益を出そうとすると
下請け業者に200万円で工事を発注すればいいのではないでしょうか?
確かにそうです!
200万円で工事をしてもらえれば70万円の利益
ということは、自社は自社で他の工事を行って
それ以上で出来ない、手が回らない工事は
他の塗装業者にお願いすればいい。
そうすると仕事をたくさん増やすだけで
あとは何も増やすことなく売上も利益も倍になる。
どうでしょう!?
凄くありません!(笑)
単純に考えればそうです。
しかし絵に描いたようには上手くいかない。
でもこれをやっているところは結構あるんです。
別に自社の工事が忙しくて出来ないとか
職人の手が回らないから出来ないとか!
そんなことがあってもこの方法を使えば
誰にでも工事ができてしまうわけです。
ということは?
それができればいいってわけ?
そうです!
ま、仕事の種類はガラッと変わってしまいますが!
もう塗装屋でも何でもありません。
単なる営業会社化してしまう。
請負ってきて利益を引いて、発注するだけ!
これで仕事が成立するわけです。
建築業の構造
これを大きく展開しているのが
大手の建設会社です。
大手の建設会社には職人さんは在籍していません。
ほとんどと言っていいほどいないと思います。
大手の建設会社に大工として勤めている
水道工事の職人として勤めている
そんな職人さんはほとんどいないと思います。
大手建設業者には職人さんはいません。
いるのは営業とか事務とか
会社を運営できる体制が整っているだけで
工事をするお客さんを探してきて仕事を生み出している。
これが大手建設会社の仕事です。
勿論それだけではなく工事も行います。
設計施工です。
でも工事を計画するものの
本当に工事を行うのは専門工事業者です。
現場を仕切って工事をしますが
あとは専門業者が工事をする。
要は仕事を作り出しているということなんです。
凄いですよね?!
ま、そんなことが言いたいわけではありません(笑)
建設業はこのように専門業者の繋がりによって出来上がっている。
そういいたかったのです。
わかり難いわ!(笑)
どういうことかと言うと!
大手建設業者のように仕事を作り出す。
作り出すといっても
工事をしようと思っている人を探してくる。
ということなんです。
それだけ?!
それだけです!
工事をしようと思っている人を探してくるだけでいいの?
工事をしようと思っている人がいれば
それだけで大手建設業者のようなことができるの?
そうです。
実際にそういう人はたくさんいますし
そういう業者もたくさんいます。
小さくても大きくても
建物を建てる業者はほとんどそうです。
お客さんを探してきて
専門の職人さんを全部抱えてやるのは不可能に近い。
仕事がちょっと止まっても、仕事がなくても
職人さんに給料を払い続けないといけない。
足が速くて工事がすぐ終わってしまうような業種であれば
たくさんの仕事が必要になるわけです。
そんな大変なことは出来ない。
それならば、工事をする人を探してきて
各専門業者に仕事を発注して利益を上げた方がいい。
専門業者は自分のところで職人さんを雇い
いろんなところから工事をもらってきて生計を立てる。
建設業はこうして成り立っている。
この建設業者を見て思うこと
それなら仕事を集めて来ればいいのでは?
そう思いますよね?
仕事さえあれば回していけるのに
何で専門業者は自分たちで仕事を集めないの?
自分たちで仕事を集めるといっても
仕事自体が新築工事の中でしかできない。
家を建てるときに一緒に発生する工事だから
仕事を探しに行くとどうしても建設業者の下請けになってしまう。
そうなんですね!
建設業の専門業者の仕事は単独で終わらせることができない。
新築や改修工事の中でしか工事ができない。
どうしても建設業者との繋がりの中でしか仕事にならない。
そう言う業種が多いんですね。
こうして成り立ってきた建設業
元請け、下請け構造です。
そしてなぜこういう構造が続いて来たのか?
いや現在も続いている。
そりゃ、建設業と一緒でなければ
仕事が出来ない。
そう言う業種も存在します。
でもそうでない業種もあるわけです。
新築でなくても自分で仕事を見つけてきて
自分だけでも仕事を終えることができる。
そんな業種もあるのに
下請けに拘り続ける。
なぜ?
下請け構造崩壊
それは、それはですね。
仕事を探してくることが
それくらい大変なことだからです!
大手建設業や他の建設業でも
仕事を探してくる専門の人がいる。
それが営業や会社のネットワークです。
仕事はそう易々と取れない。
建設関係の仕事はそう言われてずっと来たわけです。
それが段々崩壊してきている。
ということなんです。
元請け、下請け
建設業の構造が崩れてきている。
なのに!
孫請けって!?(笑)
今考えるとビックリです。
私自身なぜそんなところで仕事をしてきたのか?
それが散々話をしている無知(笑)
世間知らず!
構造を理解していない!
仕事を得ることができない。
いろいろあると思うんです。
そりゃ、独立してすぐ
いい仕事を得るのは難しいかもしれません。
でも、みんな気づいていると思うんです。
特に今はいろんな情報が飛び交っていて
どうすれば上手に立ち回れるか?
そんな情報は一杯あるわけです。
でも実際は
今までずっと生きてきた場所
下請け構造の中で生きていく。
そうすれば何もしなくても仕事がもらえる。
私も同じでした。
そう思っていました。
習慣?思い込み?人の目?
何でしょう?
やっぱり知らないから
知らなかったからです。
私が思い描いた独立は
周りの仲間や先輩がやっていた孫請けでした。
それさえすればうまく行く
稼げて優雅に暮らせる。
本当にそう思っていたんです。
自分の人生を他人に預ける
でも実際は違いました。
そりゃそうです。
元請けから専門業者として仕事を請負って来ればいい。
そうすれば元請けに仕事が入ってくれば
必ず仕事は発生します。
特に大手の建設業者に出入りすることができれば
一生安泰といってもいいかもしれません。
でも、その下請けとなれば
同じように仕事はあるかもしれませんが
常に、下請け企業が請負ってきた工事金額から
下請け企業の経費利益を引いた金額で仕事を請負うことになる。
初めに話したように270万円の工事があれば
70万円引かれた金額です。
孫請けとして仕事をもらうには
とにかく下請け企業の経費や利益も
一緒に稼ぎださなくてはならないのです。
そしてもしも、お客さんとの兼ね合いから
元請けの請負金額が少しでも下がればどうなるでしょう?
請負金額が下がれば大変だろう!
そう言って以前と同じ金額で発注してくれる?
そんなことはあり得ないでしょう!
当然下請け企業へ発注する金額は減るでしょう!
もちろん、下請け企業から孫請け企業へ
発注される金額も同じように減ることになるでしょう?
要は元請け次第!
いえ、それだけではありません。
元請けから下請け企業へ同じように支払われたとしても
下請け企業の腹ひとつで金額は左右されます。
下請け企業もその工事だけではありません。
他にも工事をしていますので
もし他の工事がうまく行かなければ
当然、孫請けへの発注金額にも影響することもあります。
要は元請けや下請け企業の影響をもろに受けます。
それどころか元請け企業に仕事がなければ
何も仕事が入ってこないこともあるでしょう?
そんなとき、自分のところで仕事を作り出せないとどうなるか?
他の元請企業や下請け企業の仕事をする。
それでも、仕事がないとなると
一般的に考えられるわけではなく
世間一般的に仕事が少なくなっている時期かもしれません。
そうなれば他のところも仕事がない。
いや、他の企業が参入してきているのかもしれません。
元請け下請け任せにしていると
こういうことも起こり得るということです。
私はたくさん経験してきました。
正直不安で不安で仕方がありませんでした。
だからこそ、自分で仕事を作り出そうと思いました。
いつ何時、元請けや下請けからの仕事がなくなっても生きていけるように
そんなことを行っているうちに
少しずつ自分の仕事が増えていきました。
結局、独立というのは私にとって自由への切符
自分の思った通りに生きる道でした。
それなのにどこか、誰かにお願する。
私の生き方を選んでもらうように
どうすればいいでしょうか?
自分が思った通りに生きたいのであれば
同じように仕事も自分で選ぶ、作り出す。
男が仕事をする、そして夢を見て独立する。
自分の人生に決断をして挑む
ぜひいつまでもチャレンジしたいものです!
今日も読んでもらってありがとう!
また書きます。